「はぁ…」
夕方、ため息をすると共に空を見上げた春貴。あたしは春貴の横顔を見つめた。
無事に課題を終えた春貴と歩いているところだ(正確に言えば春貴の家に向かっている)。
「……わかってたことじゃん」
「まーな。フラれるの承知で告ったんだし…告る時、すっげー緊張して手が震えたっての!」
「そんな風に見えなかったよ?」
「おまっ…見てたのかよ!イヤラシイ奴だなぁ」
照れ臭そうに笑う春貴。あたしはあっかんべをした。
『俺、フラれちゃった』
告白の後、あたしの部屋に戻って来た春貴はそう呟いた。
その時は覗き見してたんだよ、とは言えず、そうなんだと返しただけだった。
「………やっぱり彼氏さんには敵わねーのかな」
春貴の声は弱々しかった。


