同時に春貴とあたしは固まった。玄関から聞こえてきた声、あれは間違いなく…お姉ちゃんだ。
春貴の目が泳ぐ。そして、じわじわとりんごのように春貴の頬が赤くなっていくのがわかる。
「あ…麻帆」
「何?」
「今の優帆さん……だよな?」
「うん。そりゃあ今帰ってくるっていったら、お姉ちゃんしかいないよね」
時計をチラッと見る。あ、いつもより早い時間だ。そりゃ春貴にとってはラッキーだね。
「なぁ麻帆!今の俺…ブサイクじゃないっ?」
「元からブサイクだし…」
「こんのアホ麻帆!」
あたしはなぜか春貴からチョップを受けた。な、なんで!?本音を言った正直者だったのに!
「俺、今から優帆さんに挨拶して来る!」
部屋にあった鏡で髪をセットして普段のシャツを何度も直しながらあたしの部屋を後にした春貴。


