三船が去ったと同時に足音が聞こえてきた。俺はすぐさま振り返った。
「あ……」
「よかったぁ!」
足音の主は噂をしていた倉橋だった。倉橋は安堵の表情を見せる。
「荒嶋くん、もう帰っちゃったかと思って…」
「あ、大丈…」
「靴箱に手紙入れたの…荒嶋くんだよね?」
ギクリ。
な、なんでわかったんだ?
「手紙の字に見覚えがあったの。前、教室で荒嶋くん課題してて、その時の字体にそっくりでわかっちゃった」
ふふっ、と笑う倉橋には何もかも完敗だった。
「ごめんね、遅くなっちゃって。今…三船くんと話してて…」
────『俺、フラれた』
────『どーうせフラれるだろうから、一緒に失恋会しようぜ』
倉橋と三船の言葉が交互に駆け巡る。
「何の用だった?」
倉橋が微笑んだ。


