「実貴」
すると、シゲに呼ばれて、ビーズが入ったペットボトルを渡された。
「これ持って応援すんだ!いけいけ花龍ー!ってな。どうだ、出来るか?」
そうだった。シゲは野球バカ。いつまでも恋愛に浸ってる奴じゃない。
「やってみる!」
「その意気だ。オー花龍ファイッ!!」
包帯をしててもシゲはシゲ。野球が……野球部が大好きなシゲ。そんなシゲが好きなあたし。あたしも精一杯応援しよう。
「いっけー!花龍ー!」
「いいぞー!その調子だ花龍!」
とにかく大きな声を出した。周りの観客にも負けないように、試合も勝利に近づくように。
シゲが、楽しめるように。
「お!荒嶋、ちゃんとキャッチャーやってるー!」
シゲの口からキャッチャーという単語が出てきて、胸が痛んだ。


