そう思っていたのに、偶然を起こそうとしてる自分がいた。



今日のレジ締めはちゃんと1回で合ったし、22時には帰る用意もできていた。

それでも店に置いてある雑誌を読んだり、ケータイ小説を読んだりして、わざと時間を潰す。


「……そろそろ0時だし、帰ろうかな……」


蓮さんがいたとしてどうするかなんて決めてない。

バレンタインの必須アイテムも持ってないし。

ただ蓮さんの温かい笑顔を見て、感想を言って、少し話でもできればいいなって思った。


「会えるかわかんないしね」


そう、会える確率なんて低い。

だから期待はしないんだ。


自分に言い聞かせながら足を進めると……



「あ……」




デパートが見えるところまで来て私は肩を落とした。