発明王ショート

「田井が好きなのは、星野先生だよ」


「え!? うそ!? え、眞森君は知ってたの?」


「いや、だってさ、田井が『ボイスレコーダーと交換でダイヤをとろうとした』って言ってたじゃん。成績を上げたいのに、ダイヤの指輪と交換するのっておかしくね? たぶん田井は、先生が指輪をつけてるのがいやだったんだよ」


「……言われてみればそうかも」


「……成瀬さんって、勉強以外はぜんぜんだめなんだね」


「そういう眞森君は発明以外駄目じゃない」


「それにさ、えっと……」


「何?」


「だから、つまり、その……田井じゃなくて……」


 ショートは頬を赤らめながら、成瀬の目をじっと見た。





「成瀬さんのことが好きなのは、ぼくだから」





 成瀬は少し驚いて、でも、嬉しそうに笑った。





「えへへ、ありがと」





ショートの顔はさらに真っ赤になって、思わず目を逸らした。

成瀬はくすっと笑って、ショートの手をにぎった。


 真夏の空はすっかり晴れ渡り、また暑い日ざしが照らしていた。

遠くの空には虹がかかって、雨に濡れた、幸せなふたりを祝福している。


 手をつないで歩く帰り道。発明よりも、勉強よりも素敵な時間を、ふたりは見つけた。