資料と一緒に現場写真が挟まっていた。
一枚一枚見ていく。
なんとなくひっかかる…
捜査報告書に書かれた内容だと殺害現場は自宅で、強盗をしたはずなのに現金どころか金目の物は一切無かったらしい。
“窃盗団との関係はなし”
の一文で単独での強盗だったと分かった。
だが、明らかに他殺かと思われる手口だが室内に荒らされた形跡はない…
一通り資料を読み終えたところで虎太郎に「これみろ」とコナー夫妻の現場写真を見せられた。
それはテーブルの上の写真だった。
どうやら食事の途中だったようだ。
「グラスが3つある。」
確かに3つグラスがあった。
ふと思い返してニコルの資料を見直す。
「こっちもだ。グラスが2つある。」
「ああ。“誰か”居たのは確かだ。
…もしくは確か居たと思い込んでいたか…」
だが被害者以外のDNAや指紋は検出された記録がない。
そして盗んだはずの戦利品もなく、部屋の中のものは粗末な品ばかり…
…“誰か”に騙された?…
「そろそろ行こう。長居は危険だ。」
右京達が窓から脱出した後、持ち場に戻った警備の男は廊下に落ちている鍵の束を見てそれが自分のだと気付いた。
…ヤバいヤバい…無くしてなくて良かった。
まさか不法に潜入されたなんて、彼は考えもしなかったのだった。

