突き当たりの一番奥の金網は資料室真上にあったが、どう考えても小さすぎて侵入不可能だった。
...ダンはこの事を知っていたのか?
もしかしたら警察関係者かもしれない。
そんな事を考えながら資料室に一番近い金網で待機した。
突然廊下の電気が真っ暗になって虎太郎の声が聞こえた。
『停電か!?』
『わからない!
この階は俺が見るから、電源系統を見てきてくれないか?
新参者だから場所がわからないんだ...』
そう虎太郎が言うと『わかった』と言って警備の男は走っていった。
それを見て右京は金網を外すと廊下に出た。
だが資料室には鍵がかかっていた。
壊したくないが...と思っていると虎太郎が鍵の束を右京の前にちらつかせた。
「ちょっと拝借した。」
そういって鍵を開けると廊下に鍵の束を投げて内側から鍵をかけた。
とりあえず見回して監視カメラがないことを確かめ、ずらりと並んだ棚の前で一息吐いた。
『“C”と“N”の引き出しだ。急げよ!』
ロイの言葉に答える前に虎太郎は“C”の引き出しを開けた。
右京は“N”の棚を開けてアルファベット順にならんだ資料を探し始めた。
...あった!“エドワード・ニコル”...
ペラペラと資料を開いて目を走らせる。

