警察署付近は大通りに面していた為、アランの言った通りまだ人影もそこそこあった。
二人は建物の裏側に廻ると跳躍して屋上に降り立った。
「11時50分...あと10分だ。」
『到着した。待機する。』
『了解。定時と同時に通気口から侵入して二階まで降りてくれ。』
『ラジャー』
辺りを見回して通気口を見つけたが意外と狭い。
「ギリギリだな...虎太郎が先導してくれ。」
「OK」
右京と虎太郎は静に皮手袋をはめながら合図を待った。
『時間だ。ミッションスタート!』
虎太郎は通気口の縁に手をかけて勢いよく飛び降りた。
右京もそれに続いて飛び降りる。
先に降りた虎太郎がピタリと止まると右京は通気口に足を突っ張って止まった。
その際虎太郎に埃がかかり黒いフードが真っ白になった。
「...ワザとじゃないよね?」
「まさか!」
大袈裟におどけた右京を虎太郎は軽く睨みながら横穴に身体を滑らせた。
『ヒューガは適当な所で廊下に出てくれ。クロウは突き当たり付近まで進んで待機。』
『『ラジャー』』
虎太郎が近くの金網部分を外して廊下に出ると、右京はそれを元に戻してから奥へと進んだ。

