『クロウ、喧嘩か?』

『日本語で怒鳴ると迫力あるな…』

『女の子には優しくな?』

『やかましい!どっか行け!』


首をすくめて二人は顔を引っ込めたのを見て右京はフゥと一息付いた。


「…本当は全然平気じゃないよ、右京…」

「わかってるよ…悪かった、大きな声出して…。大人気ないよな…俺…」


涙声の忍が愛おしくて仕方なかった。


「私も思っても無いこといっぱい言っちゃったよ…」

「本当はどう思ってた?」

「どうって…今言わないとダメ!?」

「言えよ!」

「だって…ここ人いっぱい居るし…

だったら、右京も言ってよ!」


その言葉に右京は携帯に向かって『I love you,so much!!』と叫んだ。


何故か部屋の外からYEAH!!という絶叫と、紛れて『Me too!!』と言う叫び声が聞こえて来た。

それを聞いた忍も思わず吹き出した。


「うぜーだろ…さっきからずっとこっち覗いてんだよ…」

「アハハ…も~おかしすぎるよ~」

「忍…本当に愛してるんだ…」

「ん…わかってる。私もだよ。」



今まででこの喧嘩が一番大きなものだった。

右京はもう二度と忍と喧嘩はしたくないと思った。