部屋を出て行く叔母を見送って右京は忍に「ただいま」と言って椅子に座った。


「お母さん、右京が居てくれて楽しそうだった。」

「日本に帰っても忍も居るし、俺も安心だよ。」

「右京も時々は日本に帰っておいでよ。」

「そうだな…今気になる事件があるから、一段落したら考えるよ。」


その言葉に忍は神妙な声色で「そっか」と言った。


「危険な目に遭ってない?」

「今のところは大丈夫。心配いらないよ。」


「ん。実は心配してない。」


そんな話で笑い合うと一瞬の沈黙が流れた。


「忍…俺さ、、忍と離れてみてかなりツラい。

日本に居た時は忍の心配ばかりしてたくせに、実は俺の方がヤバいかも…って最近気付いた。」


忍はそんな右京に「最近!?」と突っ込んだ。


「私、ツラいのは自分だけかと思ってた。右京も同じなんだ…ちょっとホッとした。」


「触れたいよ…忍に…」


そう言うと忍は小さく「うん」と呟くように答えた。


今彼女はどんな表情をしているかを想像する。

きっと切なそうに優しく微笑んでるだろう。


「愛してるよ…離れてても変わらずに…ずっと」

「ん…ありがとう。私もだよ、右京…」


目を閉じるてそこに居る忍に手を伸ばす。


抱き締められたらといつも思う。




そんな切なさを抱いたままSkypeのチャット画面を閉じた。