それを見た瞬間、忍はコカトリスだと理解した。



じゃあこの悪魔は…



“ルシファー”!?




只ならぬ威圧感と邪気が吐き気を誘発させる…。



忍は荒い息を吐きながら窓辺に寄り掛かるとズルズルと座り込んだ。




─忍!!




頭の中で右京の声が響いた気がした…




「う…きょう…?」




─忍!!




「…右京…右京!!」



間違えない!
右京の声が聞こえた!




ゆっくり近付いて来る悪魔を睨みながら、なんとか意識を繋ぎ止める。



悪魔は忍の首に手を伸ばす…。




─忍!!伏せろ!




その声に忍は悪魔の手をパシンッ…と払い除けた。



驚いた悪魔の顔を睨みながら身体を低くする。




次の瞬間、頭の上で窓ガラスが爆風と供に割れる音がして悪魔が数歩よろめいた。




続けざまに目の前に突然炎の壁が出来た。




「忍…!ああ…忍!!良かった…」



自分を抱き締める暖かな腕に忍はホッと胸を撫で下ろした。



「右京…!おっ…遅いわよ…!」


「ごめん!本当に…ごめん!」



その胸にしがみつくと堪えていた涙が流れた。



右京は漆黒の翼で彼女を包むようにキツく抱き締めた。



そして…



…忍はふと微笑んで意識を手放した…