その様子に司祭は『どうしました?』と首を傾げた。
言葉が出ない右京の代わりにニックが司祭に話しかける。
『そ…その神は何て言っていたんですか?』
『あの本を盗みに来る輩が現れるから隠せと…』
…なんで…早すぎる…!!
いくらなんでも気付かれるのが早すぎる事に右京は焦りを感じた。
『まさか…クロウ!!』
『牧師様っ!今は何処に!?』
『わっ…私の自室の床下です!』
『それ何処!?…ほら急いで!』
右京とニックに担がれる様に廊下を疾走する。
すれ違う修道女が慌てて道を開けた。
司祭の自室だという部屋まで来ると、彼はよろめきながらベットの近くに敷いてあるラグを捲った。
床板が一ヶ所外れてそこに本一冊がやっと入る位のスペースがあったのだが…
『…ない…!確かに今朝ここに…』
『クッソ…!』
『先を越された…!』
ニックは悔しそうに壁に拳を叩きつけて右京を見た。
右京は目を閉じて行き場のない怒りを押し殺しているのが判る。
微かに辺りの空気の流れが変わり、一瞬風が吹き荒れた。
『…クロウ…』
ニックに右京を宥める様に肩を叩いた。
『…すまない…つい…』
そう言って部屋を出ていく右京の背中を見送る。
『…いったい…何が…?』
『ああ…ただのサイキッカーだから気にしないで。』
ニックは不思議がる司祭にそう言うと右京を追った。

