とある堕天使のモノガタリⅡ ~MIDRASH~





右京は『神だよ…』と呟いた。



『神である主に認められて初めて二対目の翼が貰えるんだ。

それがすっげー痛ぇーの!

その痛みに耐えられない天使は階級が上がらないんだ。

更に三対目の翼を得るのは主の意思だ。決して逆らう事は出来ない。

とても栄誉ある事なんだけど、流石にあの痛みは想像を絶する程だったよ。』



そう言って笑う右京をニックは見つめた。



『…そうまでして何故神に尽くすんだ?』


『違うよ、ニック。俺は神に尽くす為に苦痛に耐えたんじゃない。

…人間に尽くす為に苦痛に耐えたんだ。』


『人間に…?』


『人間ってさ~神に祈るだろ?

でもその祈りを神が聞く事はないんだ。

だってそれは天使達の仕事だからね。』


『そ…それじゃ、ここで祈りを捧げてる人間達は意味のない事をしているのか!?』


『…意味はあるんじゃないか?天使達が聞いてるから…』



ニックはマリア像に視線を戻した。



『なんで俺にそんな話を…?』


『…さっき言ったろ?“俺が居るじゃないか”って…

俺は神じゃない。天使でもない。

ただの堕天使だ…

…つまり、“役立たず”って事が言いたいワケ!』



右京は『だから買い被るな』と微笑んだ。