右京は立ち上がるとコートを手に取った。
『聖堂に行って来る。忍はここで待機してて…何かあったら大変だ。』
『イヤよ!危険なのは右京じゃない!』
『絶対駄目!おい、潤!』
右京の声に反応して目の前の空間が黒く淀み、黒髪の青年が現れた。
『お呼びでしょうか…』
『忍をここから出すな。俺が戻るまでお前が忍を守れ!』
『御意。』
『待ってよ…!右京!?』
ニックは心配そうに騒ぎ立てる忍の肩に手を置くと『シノブ』と声をかけた。
『俺がクロウについていくよ。牧師にも説明しなくちゃいけないしね。』
そう言うと足早に右京とともにアパートを出て行った。
「忍様…ここは右京様に任せるべきです。大丈夫ですよ、すぐ戻って来るでしょう。」
潤はにっこり笑って忍の肩をポンポンと叩いた。
「…不安なのよ…」
忍はテーブルに突っ伏して小さい声でポツリと溢した。
「ああいう時の右京って絶対私に弱味見せないもの…
私を不安にさせない様にいつも“大丈夫”って言うけど、逆に不安なのよ…」
潤はため息をついて「忍様…」と顔を覗き込む。
「貴方は馬鹿ですか?」
「…え…?」
珍しく自分に対して暴言を吐く潤に驚いて顔を上げた。

