とある堕天使のモノガタリⅡ ~MIDRASH~





右京は立ち上がるとコートを手に取った。



『聖堂に行って来る。忍はここで待機してて…何かあったら大変だ。』


『イヤよ!危険なのは右京じゃない!』


『絶対駄目!おい、潤!』



右京の声に反応して目の前の空間が黒く淀み、黒髪の青年が現れた。



『お呼びでしょうか…』


『忍をここから出すな。俺が戻るまでお前が忍を守れ!』


『御意。』


『待ってよ…!右京!?』



ニックは心配そうに騒ぎ立てる忍の肩に手を置くと『シノブ』と声をかけた。



『俺がクロウについていくよ。牧師にも説明しなくちゃいけないしね。』



そう言うと足早に右京とともにアパートを出て行った。



「忍様…ここは右京様に任せるべきです。大丈夫ですよ、すぐ戻って来るでしょう。」



潤はにっこり笑って忍の肩をポンポンと叩いた。



「…不安なのよ…」



忍はテーブルに突っ伏して小さい声でポツリと溢した。



「ああいう時の右京って絶対私に弱味見せないもの…
私を不安にさせない様にいつも“大丈夫”って言うけど、逆に不安なのよ…」



潤はため息をついて「忍様…」と顔を覗き込む。



「貴方は馬鹿ですか?」

「…え…?」



珍しく自分に対して暴言を吐く潤に驚いて顔を上げた。