とある堕天使のモノガタリⅡ ~MIDRASH~




右京の言葉に忍は『ねぇ』と疑問を口にした。



『タルタロスって地獄の事でしょう?地獄は誰が監視してるの?』


『地獄そのものだよ。』



そもそもタルタロスとは原始の神々の一人である。


ガイア(大地)・タルタロス(奈落)・カオス(混沌)・エロス(愛情)…


これら原始の神々は実体を持たず、空間そのものなのだ。


彼がタルタロスで問題を起こし、その神の鉄槌を食らったとも考えられる。


だがそれを確認する術はない。



『どちらにせよ、ルシファーにバジリスクの翼を捧げようとしてる悪魔がいるって事だろう?』


『ああ。だがこの場合ただの供物じゃない。』



それは“同化”を意味するのだ。



右京の指摘に二人は息を飲んだのが分かる。



『そうか…この本はその方法が書かれてるのかもしれない…

牧師が言ってたじゃないか、“解読させない為に隠した”ってさ!』



そしてニックはこう言った。



『つまり、ルシファーを同化させたくなかったんだ。
…それは裏を返せば“同化を望んでる者が居る”って事じゃないか!』



その通りだ。



でも何か引っかかる…



『…なぁニック…“題名のない本”が同化の方法が書かれた古文書だとしたら、“ヴォイニッチ手稿”には何が書かれてると思う?』



ニックはうーんと考え込んだ。