右京の言葉に忍は『ねぇ』と疑問を口にした。
『タルタロスって地獄の事でしょう?地獄は誰が監視してるの?』
『地獄そのものだよ。』
そもそもタルタロスとは原始の神々の一人である。
ガイア(大地)・タルタロス(奈落)・カオス(混沌)・エロス(愛情)…
これら原始の神々は実体を持たず、空間そのものなのだ。
彼がタルタロスで問題を起こし、その神の鉄槌を食らったとも考えられる。
だがそれを確認する術はない。
『どちらにせよ、ルシファーにバジリスクの翼を捧げようとしてる悪魔がいるって事だろう?』
『ああ。だがこの場合ただの供物じゃない。』
それは“同化”を意味するのだ。
右京の指摘に二人は息を飲んだのが分かる。
『そうか…この本はその方法が書かれてるのかもしれない…
牧師が言ってたじゃないか、“解読させない為に隠した”ってさ!』
そしてニックはこう言った。
『つまり、ルシファーを同化させたくなかったんだ。
…それは裏を返せば“同化を望んでる者が居る”って事じゃないか!』
その通りだ。
でも何か引っかかる…
『…なぁニック…“題名のない本”が同化の方法が書かれた古文書だとしたら、“ヴォイニッチ手稿”には何が書かれてると思う?』
ニックはうーんと考え込んだ。

