ヴォイニッチ手稿なるものは未だ解読不能で、一説によると古文書だと言われている。



『なせヴォイニッチ手稿が解読不能なのかが重要なのです。』


『ある人は単なる落書きとも言ってますよね?』


『230ページもある落書きは不自然過ぎる。』



二人の会話に頷くと急に司祭の表情が真剣さを増した。



『これからお話する事はここだけにしてください。

記事にも絶対に当聖堂の名前を出さないように。』



ニックと忍も頷くと真剣に司祭の話に耳を傾ける。



『ここにある“題名のない本”は本来存在しないものとして代々保管されています。

それはヴォイニッチ手稿を解読させない為であると聞いています。』


『解読させない為?』


『これは私の憶測なのですが、この“題名のない本”はヴォイニッチ手稿の解読の鍵になっているのではないかと…』



『ちょ…ちょっと待って下さい!もしそうだとして、何故そんな…』


『内容がそれだけ後世に残したくないものなのでしょう。』



後世に残したくない内容…?



でもこの“題名のない本”が鍵で、それが残ってるとしたらそれは─



忍と同様に疑問に思ったニックは司祭に尋ねた。



『その内容がどんなものなのか、牧師さまはご存知ですか?』



司祭は『いいえ』と首を横に振った。