忍が右京に連れて行かれたのはジェイクの兄の店だった。
店に入った瞬間忍は騙されたような気になった。
というのも、店内で裕に30人は超える大衆に出迎えられたからだ。
「…なんか…大変な事になってんだけど…」
「やる事が派手なんだよ、こいつらは…」
右京はあまり気にもせず忍を連れて店内に進んだ。
『シノブ!久しぶり!』
『会いたかったよ、シノブ!』
マイケルとジェイクは忍が言葉を発するより早くグイグイ引っ張って右京から強奪した。
『おい!それ、俺の彼女なんだけど!』
『今はみんなのシノブだ!拗ねんな、拗ねんな!』
たぶんそれは違うと思うが、マイケル達がそんなのを聞くはずもない。
あれよあれよという間に人混みに連れて行かれた。
「忍さん!」
「え…虎太郎くん!?」
懐かしい顔に頬が緩む。
「元気だった!?」
「もちろん!」
そう答えた虎太郎の後ろから小柄な美少女がひょっこり顔を出した。
「もしかして…噂のリサちゃん!?」
虎太郎が頷きながらリサをズイズイと忍の前に突き出した。
まるで人形の様に整った容姿のリサに忍は「わぁ~…」と感嘆の声を漏らした。

