呼吸が落ち着いて来ると右京は忍を正面からまじまじと眺めた。
ちょっと照れくさい。
少し高潮した頬を右京が撫でた。
フワリと後ろに流してある銀髪が揺れて…
「…忍…」
吸い込まれそうなグリーンアイから目が逸らせなくて…
「…忍…」
切れ長の細い瞳を更に細めて微笑む眼差しが優しくて…
「…会いたかった…」
そっと近付く右京の顔に触れてみた。
「…右京…」
重なる唇は懐かしくて─
ちょっと強引で─
でも優しくて─
─好き。
「私も会いたかったよ、右京…」
忍がそう言うと右京は力強く抱き締めて、耳元で小さく「やっと会えた」と囁いた。
「そろそろ行こうか。」
そう言って忍の手を引いて歩き出した右京に忍は首を傾げた。
「どこ行くの?」
「みんなが忍に会いたがってる。」
「え!?」
突然そう言われて忍は立ち止まった。
「みんなって誰よ!」
「マイク達とか…あ、虎太郎も会いたがってたよ。」
知ってる名前が出て来て少しホッとした様子の忍に右京が微笑んだ。
「さっきさ~早く忍に会いたくて、寮からここまでダッシュしたら高校の頃を思い出したよ。」
「毎朝遅刻ギリギリだったもんね~」
「そうそう!クソジジィのせいでね!」
そう言うと忍はケラケラと笑った。

