ニックはこっそり“クロウが侵入してくれれば”と思った。
チラッと彼を盗み見る。
『…俺はやらないよ。』
ニックの仕事を手伝ってもなんの特にもならない。
『しかも下見で神父に顔が知れた。無理だよ。』
『わかってるよ…』
仕方ない。ミス・クロサキに動いて貰って…
『忍に危ない橋渡らすなよ。』
…
『さっきっから何だ、お前は!思考が読めるのか!?』
『ニックの考えてる事なんて誰でも判る!安直過ぎるんだよ!』
右京の言葉にニックは黙ってふてくされたように口を尖らせた。
『とりあえず牧師にまずストレートに聞いてみる。
もしそれでダメならクロウに頼むよ。』
『だから俺は…』
と反論しかけた時、ニックは右京の目の前に鍵をちらつかせた。
『これ、仕事用に借りてるアパートの鍵。
手伝ってくれるなら…』
『…俺を釣るのか?』
『手伝ってくれるならミス・クロサキにクロウに渡していいって合い鍵預けるけど…』
『…そういう悪知恵だけはすごいな…』
右京とニックの睨み合いが続く。

