まったくアランって奴は抜け目のない男だ。
『…勧誘されたか?』
『ああ。俺にも色々やらなきゃいけない事があってね…
手は貸してもいいが断ったよ。』
『そうか…。
しっかし凄いな…』
防犯カメラを取り付けたのもこれに対するものだろう。
一体何をするつもりなのか…
『…知りたそうな顔してんな…』
『…聞いていいのか?』
『別に人間相手に戦争しようってわけじゃない。』
クリスは『安心しろ』と笑った。
“人間相手じゃない”のならアランはさぞこの男を欲しがった事だろう。
右京はそれ以上詮索せず『そうか』とだけ答えた。
本部に入ると待っていたようにニックが『どうだった?』と声をかけて来た。
『日中は人が多い。その間は神父も常に居るだろうな。』
『動くなら夜か…』
『相当暗いと思う。俺は大丈夫だけど…』
『他に変わった所は?』
『聖堂内のマリア像に移動した傷があった。
あの下に何かあるかも…』
『防犯カメラあったか?』
『正面に一カ所、中に2カ所はあった。
まだあるかもしれない。』
ニックは顎髭に手を当てて唸った。
『侵入するのは出来るだけ避けた方が良さそうだな…』
右京だけならまだしもニックひとりではリスクが高すぎる。

