とある堕天使のモノガタリⅡ ~MIDRASH~





P2本部に上がる途中、ふと一階の骨董屋の扉が開きっぱなしになっているのに気付いた。。



『…クリス?』



店内に足を踏み入れ声を掛けてみたが返事がない。


数歩踏み入れた所で奥のテーブルで頑丈そうなトランクを開けているクリスが見えた。



『居たのか、クリス…』


右京の言葉にクリスは無表情な顔を上げた。


彼の手に握らた物を見て固まる。



『…何してんだ…?』



それは紛れもなく拳銃だった。


クリスは『ああ…』と無表情のまま手にした拳銃に視線を落とした。



『SAA…コルト・シングル・アクション・アーミーだ。
通称“ピースメーカー”の特注品だ。

…年代物だよ。』


『びびった…骨董品かよ…』


『まだ使える。』



そう言って右京に構えてみせた。


両手を上げて慌てる右京を見てクリスはニヤリと笑った。



『その昔銀製の弾丸をこめて使っていたらしい。

…用途は言わなくても解るかな?』


『吸血鬼…退治?…』



クリスはトランクにしまいながら頷いた。



『元々はアメリカで軍事用に開発されたらしいが、これはそれとはちょっと構造が違う。

つまりバンパイアハンター専用のピースメーカーって訳だ。』


『…随分詳しいな…』


『ああ、昔米軍にいたからな。』



右京は『ふーん』と相槌しながらトランクに収まっているリボルバーを見入った。