電源が付けっぱなしのPCから新着メールを通知する音が聞こえ、ニックはソファから上体を起こした。


カチカチとマウスを動かすとメールの受信ボックスを開いた。


タイトルの“Dear Nicole”の文字を見てはぁ…と溜め息をついた。



…そろそろ来る頃だと思った…



このタイトルで送られて来るのは編集者からのメールで、毎回内容は決まっている。



そこには”そろそろ新しい原稿を─”の文章…



『…コイツ、絶対に毎回同じ文を“copy&paste”してるよな…』



ブツブツぼやきながら以前自分が送った“今構想を─”という文章をコピーして送信してやった。



いい加減取材に行かないと国際電話がかかって来そうだ。



『面倒くせーなぁ…』



そう呟くと丁度P2にやって来た右京が『何が?』とニックに聞いた。



『原稿の催促だよ。そろそろ送ってたストックが尽きるらしい…』



次は何について記事にするかな…



ネット上でネタを探すニックを右京が興味深そいに見つめる。



『なんだ?クロウ…』


『いや…本職モードのニックが珍しいからさ…

何について記事にするんだ?』


『決まってない。前回は面倒だからロケに行かなかったんだが…』


さすがに今回もそれをやったら編集部からクレームが来るだろう。