パスタを平らげた虎太郎が『でもさ』とナプキンで口を拭った。



『俺らが黙ってたとして、アランがニックに言わないとも限らないんじゃないか?』


『アイツが言うわけねぇよ。

考えてみろ。絶対楽しんでる…』


『ああ…それもそうだな。』


『ここでどうこう言ってても、結局は成るように成るのよ。』



そう言ったリサに右京も『だよな~』と頷いた。


『じゃあ俺先行くわ。』


そう言ってお金を置いて店を出て行く右京を見送ってリサは『ねぇ』と虎太郎に話し掛けた。



『実際どうなわけ?

クロウは彼女を就職させたくないの?』


『それはないだろ…

ただ心配なんだよ。』


『…ヒューガも心配とかするの?』


『俺?そりゃするさ!』



“心配”させる要素満載のリサと付き合ってるのだから…



『へぇ…してるんだ。心配…』


『なんで?見えない?』


『ん~…解りづらいわ。

どんな時?』


『そうだな…例えば寮生に人気あるリサを見たときとか…』


『…それの何が心配な訳?』


そう言われると何を自分が心配しているのかすぐに言葉が出て来ない…



『多分、自分がリサより地味だから…かな?』


『意味が分からないわ。』



髪を揺らして首を傾げるリサを虎太郎は肘をついて眺めながら笑った。



『少し不安になるんだよ。リサが可愛いから…』



虎太郎は『ソース付いてる』と言いながらリサの口元を指で拭った。