アランは少し身を乗り出して右京を真っ直ぐ見つめた。



『君の彼女は恐ろしいくらいの強運を持っているようだ。』



何の事を言っているか解らない。


首を傾げる右京にアランは目を細めた。



『当てようか…

彼女はとある記者に興味を持った。

その記者は海外に居て、出版社の面接でその記者の担当を任せたいと言われた…』


『なっ…!?』


『当たりかい?』



正にその通りである。



まるで全てを知っている様なアランに右京は唖然となった。



クスクスと笑いながら楽しそうに右京を眺めた。


『ついでに言うと、その記者の名前は“ニコール・ウィッシャー”だ。』


『まっ…待ってくれ!
どういうことだ!?』



幾らなんでも当たり過ぎだ。



『彼女の知り合いなのか!?』



そう聞く右京にアランは『彼女?』と苦笑した。



『ニコールは知っているけど“彼女”ではない。』


『…男なのか!?』


『ああ、正真正銘“彼”は男だ。

クロウもよく知ってるじゃないか。』


『…』



まさか…



そしてアランはその“まさか”を口にした。



『“ニコール・ウィッシャー”はニックのペンネームだよ。』