…“愚かな生き物”…
ラファエルの言葉にウリエルは言い返す事が出来なかった。
そう言われても仕方ない人間が居るのも事実。
『人の霊魂は変わるもの…
良くも、悪くもな…』
『そう、人間を一括りにした言い方は好かんな。』
『…ウリエルらしいな…
だが現実を見ろ。
人間界の世は愚考が渦巻いているではないか!
現にあの幼い妹の霊魂も…』
『…荒んだのか?』
『まるであれでは…“侵食”だ!!』
兄からの暴行を受け、やっとその呪縛から解放された。
だがその意思は確実にその妹へと受け継がれた様だとラファエルは語った。
『にしても“侵食”は言い過ぎではないか?』
『あの妹の目を見たかい?
そっくりではないか!あの醜く荒んだあの男に!!』
『だからってまだ更正の余地はあるであろう?』
『…サリエルと同じような事を言うのだな…』
『よく似ていると言われるが、私はあそこまで弱くないぞ?』
そう言うとラファエルは微かに微笑んだ。
『そうだな…サリエルは私には逆らわない。』
そう言って目を伏せこう言った。
『私は…サリエルに彼女の“処刑”を命じた。』
『なんだと!?何故…!?』
『もう見たくないのだ…人間が…人間の霊魂が“侵食”され荒み穢れ肥大するのを…!!』
なんて事を…!
『なんて事をしたんだ!!
ラファエル、お前は間違っている!!』
ウリエルの言葉にラファエルはピクリと片眉を上げた。

