『なるほど…それでハニエルが人間界に降りたのか…』
ひとり納得するラファエルにウリエルは『時に』と少し声を強めた。
『下界に“顔のない騎士”が現れてね…
首を狩るんだそうだ。
心当たりはないか?ラファエル…』
『…何故私に聞くんだい?』
『君の差し金だろ?』
ラファエルはじっとウリエルを見据えるとそばにいた従者に『外してくれ』と促した。
従者が謁見の間から出て行くとラファエルはゆっくり立ち上がってウリエルに近付いた。
『“顔のない騎士”なら精霊じゃないのか?』
『…あれは精霊ではないと私は思うのだ。』
『…では何だと?』
『あれはサリエルの仕業じゃあるまいか?』
『ほぅ…ふふふ…はっはっはっはっ!!』
高笑いするラファエルをウリエルは黙って見つめた。
『ウリエルには隠せないか…
その通りだよ。あれはサリエルだ。
よく見抜いたね。』
『デュラハンとは特徴が違う感じがしたからな。』
『…以前から気になる人間の男が居てね。
話せば長くなるが…』
そう言ってラファエルはその男について話し出した。
男は普段非の打ち所がない善人だった。
だが、それは表の顔で夜になると残忍な裏の顔を持っていたそうだ。

