ただウリエルと違うのは情が深く優しすぎるという点である。


虎太郎はウリエルが堕天した時の事を思い出した。


『ウリエル様がどうして堕天しないといけないのですか!?』

そう詰め寄った自分にサリエルはただ『ごめんよ』と繰り返し、さめざめと泣き続けた。


『これが私の役目なのだよ…

出来ることならこんな事したくなかった…』


その時はっきりと理解した。
彼が一番辛い立場に居るのだと…


何人もの裁かれた者の罪を執行しなければいけないのだ。


優しすぎる彼にとっては酷な役目だ。


そんなサリエルが今回関与しているとなるとやはり上からの指示と考えられる。


『主である神が直接人間の“死刑執行”を指示する事はない。

人間の監視は使徒である俺達天使の役目だ。

となるとサリエル様がラファエル様の指示を受けたと考えるのが自然…』


だがラファエルにもそれ相応の理由が必ずあると虎太郎は思った。


右京もそう考えたから自ら会い行ったのだ。


『右京の帰りを待とう。』

『クロウは…何処へ?』

『天界だよ。

七大天使への謁見ならともかく、四大天使のラファエル様への謁見となると俺には無理だ…

…身分が違い過ぎる。』


格下の自分に普通に接してくれるのはウリエルくらいだ。


『大丈夫。ウリエル様ならなんとかしてくださる。』


虎太郎が穏やかな笑みを浮かべると、みんなちょっと安心した表情になった。



ウリエル様…良い報告をお待ちしてますよ…