とある堕天使のモノガタリⅡ ~MIDRASH~



待ち合わせに指定されたのは時間と場所、それに服装だ。


出来るだけ黒いっぽい服がいいとアンナは言った。


男は素直に従ってアンナという名の女を安心させる事にした。



待ち合わせは町外れの公園だった。

しかも夜中というのもあり、人影はない。


…その方が好都合だ。


だが満月のせいで少し明るい。


男は月明かりを頼りに公園を歩いて指定された場所に向かった。


『アンナ?』


全身黒尽くめの女を見つけて声をかけた。


…なんだコイツ…まるで“魔女”じゃないか…


多少不気味な雰囲気だったが、近寄ってみるとかなり若い事に気付いた。


まぁ、“魔女”でも女は女だ。
しかもまだ若い。…こりゃアタリかもしれない。


男はアンナに笑顔を向けた。


『来てくれて嬉しいわ!』

『ボクも会えて嬉しいよ。』


ウブな青年を演じる自分がちょっと笑える。


『行きましょうか。とっておきの秘密の場所があるの。』


そう言ってアンナは男の腕に自分の腕を絡めた。


…なんだ、俺と同じ類いの女か?


アンナは男をグイグイ引っ張って歩き出した。


公園を抜け暗い夜道を歩き出す。


『どこに行くんだい?』

『秘密の場所!』


アンナはあどけない笑みを浮かべてそう答えた…