とある堕天使のモノガタリⅡ ~MIDRASH~




つまり、儀式を行わせて“何”を召喚するのかを探り出す。


だが、“ウイッカ”が召喚する前に阻止しなければいけない。


注意すべきなのはタイミングと方法だ。


『問題はアンナ・シモンズだ。

彼女には正体をさとられるなよ。』


ダンがアランの言葉にそう付け加えた。


虎太郎は軽く手を挙げて『ラジャー』と答えた。


尾行した時、一瞬右京の視線に気付くくらい勘の鋭い女だ。

楽観視する訳にはいかないだろ。


『なんとか上手くやるよ。』


右京もそう答えると気を引き締めた。




一足早くP2を出た右京と虎太郎は横穴付近の木の上で“ウイッカ”の到着を待つ。


『虎太郎。アンナ・シモンズって女だが、かなり鼻が利く。

気をつけろ。』


そう言って右京はサングラスを掛けた。


それを見て意図を読んだ虎太郎は『なるほど』と呟いた。


虎太郎も襟に引っかけていたサングラスを装着してその時を待った。



時計が0時を指し日付が変わった頃、暗闇の中に人影が見えた。


『シモンズが来た。』


小声で右京がそう言うとロイの『了解』と言う声が聞こえた。


『さて、作戦スタートだ。』


アランの一声で本部のメンバーにも緊迫した空気が流れた。