とある堕天使のモノガタリⅡ ~MIDRASH~




シモンズは町外れに位置する一軒の家に入って行った。


『シモンズが家の中に入った。』

『了解。…農家か…オーケー、クロウ。撤収だ。』


右京が本部に戻ると先に戻っていたダンが手を挙げて『よぉ』と挨拶をした。


『さっきシモンズが入った家なんだが、持ち主はチャールズ・ゴードンという老人だった。

が、3年前に他界してその孫に所有権が移ってる。』

『誰か中に居たようには見えなかったが…』

『ああ、居ないだろうな。

その孫も先日死んでる。』


そう答えたロイに右京は眉を寄せた。

ダンが『薬物でな』と付け加えて、その意味を理解した。


『あの“変死体”か…

偶然…じゃないよな。』

『繋がりがあったと考えるのが自然だろうな。』


だとしたらシモンズはただの家出少女じゃなく、殺人犯の可能性がある。


『俺としては一刻も早く彼女を取り押さえたいが、あと3日だ…

クロウ、ドジるなよ?』


右京はそう言うダンに広角を上げて答えた。


『俺を誰だと思ってるんだ?安心しろ。』

『期待してるよ。』

『任せろ。虎太郎も居るし、問題ないよ。』


その言葉に納得したようにダンも笑った。