右京は森の中を器用に飛びながら進むと、横穴近くの木の上に降り立った。
『到着した。』
『ごくろうさん。シモンズはまだ中だ。』
しばらくそこで息を潜めていると、『シモンズが動いた』というロイの声が聞こえた。
トボトボと横穴から出て来たシモンズはゆっくりと森の中を北に向かって歩き出した。
『尾行する』と短く言うと通信を終了して離れた位置から後を追った。
森を抜けて人気のない通りに出ると、シモンズは相変わらずトボトボとその道を進んで行った。
こんな暗い道を独りで怖くないのだろうか?
忍なら独りじゃ絶対歩けないだろうなと考えながら、右京は森の中からシモンズを見ていた。
突然シモンズがピタリと足を止めた。
キョロキョロと辺りを見回す。
視線が…
右京の方を向いている…
…まさか感づかれた?
周りには右京以外誰もいない。
右京はハッとした。
“目”か!!
暗闇なせいで右京の瞳の色が目立つのだ。
小さく舌打ちをして右京は胸のポケットからサングラスを取り出してかけた。
するとシモンズはまたキョロキョロとして少し首を傾げてから再び歩き出した。
その様子を見て右京はふぅと胸をなで下ろす。
意外と鋭い女だな…
右京は今度からはサングラスをして任務にあたろうと考えながら後を追った。

