とある堕天使のモノガタリⅡ ~MIDRASH~




そういえば、シンディもデザイナーとして『新作のデザイン画を決めないといけない』と言っていたのを思い出した。


『みんな忙しそうだな…

…ロイは暇そうだけど。』

『俺だってちゃんとやってるぜ?

…昼間だけな!』


それが本当かどうかはわからないが、内心居てくれて良かったと思った。


そうこうしていると、ダンから連絡が入った。

ロイはスピーカーホンに切り替えるとダンに『どうだった?』と聞いた。


『モニターの女だけど、やはり当たりだった。

彼女はアンナ・シモンズ、18歳。半年前に両親から捜索願いが出ていた。』

『どうする?保護するのか?』

『そうするべきなのだが、満月まであと少しだ。

しばらく泳がせようかと思う。』


ダンはアラン程の統括力はないにしても、P2最年長で計算して動くタイプだ。

たぶん勝算があるのだろ。


『ダン。シモンズって女、尾行しようか?』


右京がそう言うと、『頼む』とダンは短く答えた。


『潜伏先が分かれば何かと都合がいい。』

『了解。』


右京はインカムを装着するとコートを羽織った。

『俺が行こうか?』

『いや、大丈夫だ。虎太郎は待機しててくれ。』


フードを被ると右京は静かにP2を後にした。