一見動きの無さそうなモニターだが、チラッと何かが動いた。
影のように見えたそれは忙しそうにちょこちょこと画面の中で移動していた。
『…女?』
『ああ。これを見てダンがどこかで見た顔だって言い出してさ…
さっき飛び出して行ったよ。』
右京はモニターの女を見つめながら『ふーん』と相槌を打った。
『なんかの事件と関係してないといいがな…』
また警察が動くとなると、こちらとしてもやりづらくなる。
『なぁ…あの女、ひとりだよな?
なにしてんだろ…まだ満月まで3日はあるのに…』
虎太郎は顎に手を当てながらモニターを睨んだ。
『これって…ペンタクル(五芒星)じゃないか?』
虎太郎が燭台の置かれた位置と床を指差した。
確かにそう見えなくない…
『そこらへんの知識はダン達の方が詳しいか…』
結局、それが五芒星だとしても儀式自体はひとりじゃ行えない。
恐らく近く行われるそれの準備をしているのだろう。
『珍しくニックがいないけど…』
『ニックとシンディは本業の方の用事だとよ。』
ニックが急遽仕事と言うのは今までで初めてかもしれない。
ロイの話だと、出版社の編集部と揉めたとか…。

