とある堕天使のモノガタリⅡ ~MIDRASH~



息を切らせて寮に帰って来た虎太郎は勢い良く部屋の扉を開けた。


驚いた表情のリサが目に入った。

シフォンのフワリとしたワンピースが華奢な体に良く似合っていた。


『…それ…良く似合ってる…』

『あ…ありがとう。

…そんなに急いでどうかしたの?』


そうだ、ワンピースなんてどうでもよかったのだ。


『リサ…』

『なに?…あ、決めたわよ!行きたいところ!』

『え?…よかった、俺そういうの疎くて…

…じゃなくて、リサ…』

『ホント、疎そう!

大丈夫よ、私がリードしてあげるわよ。』

『…普通逆なのにな…ってそれより…リサ?』

『ふふ…ヒューガは子供だものね。

でも気にしなくていいわよ、分かってるから!』

『そっか…ねぇリサ…』

『そういうのももう少し勉強しないとね~』

『リサ!!』


なかなかタイミングが掴めない虎太郎は声を少し張り上げた。


面食らったように『へ?』と顔を上げたリサを虎太郎は抱き締めた。


『…待たせてゴメン…』

『そんなに待ってないわよ?』

『いや、かなり待たせてたよ…リサ。』


訝しげに首を傾げるリサの頬を両手ですくい上げると、身を少しかがめて唇を塞いだ。


愛しいリサに何度もキスを繰り返した。


『君が…リサが好きなんだ。』


リサは大きな瞳を潤ませて、微笑むと一筋の雫を零した。