息を切らせて寮に帰って来た虎太郎は勢い良く部屋の扉を開けた。
驚いた表情のリサが目に入った。
シフォンのフワリとしたワンピースが華奢な体に良く似合っていた。
『…それ…良く似合ってる…』
『あ…ありがとう。
…そんなに急いでどうかしたの?』
そうだ、ワンピースなんてどうでもよかったのだ。
『リサ…』
『なに?…あ、決めたわよ!行きたいところ!』
『え?…よかった、俺そういうの疎くて…
…じゃなくて、リサ…』
『ホント、疎そう!
大丈夫よ、私がリードしてあげるわよ。』
『…普通逆なのにな…ってそれより…リサ?』
『ふふ…ヒューガは子供だものね。
でも気にしなくていいわよ、分かってるから!』
『そっか…ねぇリサ…』
『そういうのももう少し勉強しないとね~』
『リサ!!』
なかなかタイミングが掴めない虎太郎は声を少し張り上げた。
面食らったように『へ?』と顔を上げたリサを虎太郎は抱き締めた。
『…待たせてゴメン…』
『そんなに待ってないわよ?』
『いや、かなり待たせてたよ…リサ。』
訝しげに首を傾げるリサの頬を両手ですくい上げると、身を少しかがめて唇を塞いだ。
愛しいリサに何度もキスを繰り返した。
『君が…リサが好きなんだ。』
リサは大きな瞳を潤ませて、微笑むと一筋の雫を零した。

