キャンパスを移動しながら更に考えた。
虎太郎にとってリサの存在は決して小さなものではなかった。
だから年末年始も日本にも帰らなかったし、大切にしてやりたいと思っているのだ。
一緒に居ると安心するし、ヒューガ!と言って抱きついて来るリサを抱き止めてやりたいとも思う。
何よりリサが可愛くて仕方がないのだ。
最初はそれが妹の類いに似た感情だと思っていたが…それが間違いだったのだろうか?
正直、キスしたいと思う事もあるし、抱きたいと思う事もある。
…つか、リサ以外にそう思った事ってあったか?
答えは“NO”だ。
リサ以外にそんな事考えた事がない。
日本に居た時もよくナンパをしに行ったが、女をどうこうしたいと言うよりは単に話してみたいという気持ちからだった。
結果としてベットに誘われれば応えてやったってぐらいだ。
ん?ちょっと待て…
虎太郎は気付いた。
そうだ…“応えてあげた”ではなく…“応えてやった”のだ。
違う…リサに対する気持ちと他の女に対する気持ちが根本的に違う。
リサは右京に振られた後、俺のそばにずっと居た。
他の誰でもない、“俺のそば”に…
優しいくらいしか取り柄のない俺を必要としてくれてた。
俺は…リサを必要としてたか?
俺は…
虎太郎は走り出した。
伝えなきゃ…リサに!

