虎太郎は昼間現れたリサを見るなり、話を切り出した。
『リサ。今日出掛けないか?』
『どこに?』
『どこでも…リサが行きたいとこでいいよ。』
『…それって…デートに誘ってんの?』
『…そのつもりなんだけど…』
なんか失敗したか一瞬不安になったが、嬉しそうに笑うリサを見てホッとした。
『行く!』
『良かった。夕方には授業終わるから、どこか行きたいところ考えておいて。』
そう言うとリサはうーんと考え始めた。
真剣に悩むリサに微笑むと虎太郎は授業を受ける為、キャンパスを横切った。
…“地雷”は踏まなかったよな、うん…
こんなに緊張すると思っていなかった虎太郎は溜め息をついた。
なんで俺こんなに緊張してんの!?
自分で自分に疑問をぶつける。
今までナンパや女の誘いで出掛ける時ですら緊張なんてした事ないのに…
リサだから緊張するのか?
…なんでリサだと緊張するんだ?
ふと“お前の女だろ?”と言う右京の言葉を思い出した。
ああ…“女”として意識してるからか?
そして“女として好きなのか?”といういつか言われたリサの言葉が頭をよぎる。
だが虎太郎には“YES”と言えるだけの自信がなかった。
やっぱり難しい問題だ…と考えながら、その後の授業を受けるのだった。

