とある堕天使のモノガタリⅡ ~MIDRASH~




『昨日の話か?』


右京が首だけ動かして虎太郎を見た。


『どんな発言が“地雷”になる?』

『知るかよ!お前の女だろ?』

『ヒューガの女か…いい女か?』

『まぁ…それなりに…

つーか、俺の女なの?』

『違うのか?』


興味無さそうに右京は本に視線を向けたまま聞いた。


『わかんねー…気付いたら一緒に居る事が多いって感じ。』

『寝たか?』

『そりゃ…まぁ…』

『そりゃ、ヒューガの女だな。』

『ん。お前の女だと俺も思う。』


虎太郎は『そうか…』と呟いた。


『いい傾向じゃないか。
今まで特定の女が居なかったお前がおかしかったんだよ!』

『…特定の女がいないって…お前そんなにプレイボーイだったのか…』

『否定はしないけど…
相当の理由が無い限り拒みはしねーな…』


黙って聞いていたシンディは『最悪ね』と呟いた。


『そんなんだから彼女が怒るのよ。』

『…シンディに言われると説得力あるな…』

『オーバーなくらい熱く口説いてみなさい。』

『…俺が?…右京じゃあるまいし無理無理。』

『ほぉ…クロウは熱く口説くのか…』

『そんなつもりはないよ。』


右京はチラリとロイを見て手をヒラヒラと動かすと、また視線をすぐに本へと移した。