そしてそっとキスをした。
『やっぱり“キスしたい”というか、“キスしてあげたい”と思う気持ちが大きいよ。』
そう笑う虎太郎にリサは溜め息を付いた。
ダメだわ…ヒューガにはかなわない…
思い通りにならない虎太郎に『もういいわ』とリサは微笑む。
ちょっと首を傾げる虎太郎にリサは誘うように顔を近付けた。
『あ~…リサ?
悪いんだけど、俺凄い今眠いんだよね…』
『知らないわよ。私は眠くないもの。』
『でもほら…ここ外だし…』
『私はセイレーンよ?気にしないわ。』
『気にしようよ…女の子なんだから…』
ニジリ寄るリサに押され後退する虎太郎…
『抱きたいと思わないの?』
『えっと…“抱きたい”気持ちより今は“眠りたい”気持ちの方が…うわっ!』
枝の上を後退する虎太郎が手を滑らせて地面に落下した。
『ふふ…私を置き去りにした罰よ!』
リサは木の上から虎太郎を見下ろして鈴を転がしたような綺麗な声で笑った。
無邪気な笑顔を見ていたらつい抱き締めたくなった。
虎太郎はリサに向かって突風を起こすと、あおられたリサが虎太郎の上に落下して来た。
『天使を笑った罰だ。』
『女の子には優しくするべきよ!』
『俺は優しいだろ?』
そう言って真上あるリサの頭を引き寄せて少し荒っぽくキスをした。
『今思ったよ。リサにキスしたいって。』
虎太郎の言葉にリサは満面の笑みを浮かべた。

