とある堕天使のモノガタリⅡ ~MIDRASH~




ロイの指示でカメラを取り付けられそうな箇所を探す。


『出来るだけ濡れないような所がいい。』

『無茶言うな!鍾乳洞だぜ?』

『カメラの設置できそうな箇所はあるが、水に濡れない場所は虎太郎の言う通り難しい…』


そう言うとロイは唸って『検討する』と答えた。

とりあえず、撤収命令が出たので右京と虎太郎はその場を後にする事になった。


『さすがに眠いな…』


虎太郎も右京の後ろで大きな欠伸をしていた。

インカムを外した虎太郎は「あ!」と思い出したように声を上げた。


「リサの存在を忘れてた…」

「リサ?」

「ああ、なんか来てたんだよ…」


右京はそんな虎太郎の様子に溜め息をついた。


「なんつーか…ヒドいなお前…」

「いや、右京よりは紳士的だよ…」


虎太郎は笑いながら「先に帰ってて」と片手を上げた。


右京は「ああ」と返事をしながら森を抜けた。


…あいつらってどんな仲なんだ?


「紳士的ねぇ…」


いまいち理解出来ない虎太郎の行動に首を捻ると、右京は夜空に舞い上がった。


…リサも苦労するな…


ちょっと同情しながら帰路についたのだった。