とある堕天使のモノガタリⅡ ~MIDRASH~



静かに虎太郎の背後に降り立つと、肩に手を置いた。


右京に気付いた虎太郎が指を指す方向に目を凝らす。


…あんな所に横穴が…


最後の一人と思われるやつがその横穴に消えると、右京はロイに『入口を見つけた』と告げた。


『横穴がある。どうやら人工的なものじゃなさそうだ。』

『どうする?入ってみるか?』

『待て。中の見取り図もないのにそれは無謀だ。』

アランがそう言って右京達にストップをかけた。

とりあえず中の人間達が居なくなるのを待つ事にした。


1時間程でゾロゾロと人々が出て来た。


『その集団がウイッカだとしたら、恐らく13人居るはずだ。』


だが、いくら数えても12人だ。


『…変死体になった人物が13人目って事か…』


出てきた12人は性別はわからないが、何やら短い会話を交わして去って行った。


『よし、潜入してみる。』


右京の言葉で虎太郎も後に続いた。


入口は思ったより小さく、下に向かって続いているようだ。


『ここは鍾乳洞か…』


ひたひたと水の滴る音がして洞窟内はひんやりと涼しい…


『小型カメラは取り付けられないかな…』

『天然の洞窟だと難しい。

バッテリーを積んだとして48時間が限界だろう。』


48時間毎にバッテリーを交換しないといけないが、中の様子を伺うにはそれが一番最良の策だと思われた。