新庄はうーんと何か考えてから忍に「君さぁ」と身を乗り出した。


「ニコールの助手やってみるかい?」

「ええ!?そっ…そんな大役、私で大丈夫でしょうか?」

「人手が足りない時、ニコールはいつも出版社の人間を呼びつけるんだ。

記事自体は基本、ネットのデータとして送られて来るからいいんだけど、問題はそれまでがニコールの場合大変でね…」


新庄は本当に困ったように溜め息混じりにそう言った。


「現地に知り合いが少ないのか、副業をしてるのか知らないが、取材に時間が掛かりすぎるんだよ…

その度に日本から人を派遣するんだが、毎回違う人間が行くと大抵衝突するんだ…」


なるほど…記事は素晴らしいが、その過程は相当修羅場なのだろう…


「そのお手伝い、私で大丈夫でしょうか?」

「多少の英会話が出来れば問題ないよ。

あとはニコールと君がうまくやっていけるか…って事だけだね。

じゃあ決まり!」

「あの…それって…」

「本採用は4月からだけど、その前に2ヶ月くらい色々研修してもらうね。

それなら問題ないだろ?」

「はい…それって、“内定”って事でしょうか?」


新庄は「そうだね」と笑った。


「あ…ありがとうございます!

あの…こんな即お返事が頂けるなんて…」

「この業界はやる気と根性があれば大丈夫だよ。

君は知識もありそうだし、落とす理由がない。


2月から頑張ってくれよ!」


忍は「はい!頑張ります!」と勢いよく立ち上がると頭を下げたのだった。