それから数日後、イルミナティ出版社から電話が掛かって来た。


“とりあえず面接をしたいから一度出版社に来て欲しい”と言われ、忍は一気に緊張した。


指定されたその日は大手出版社の二次試験と重なっていたが、忍はイルミナティ出版社の面接へ行く事に決めた。


第六感と言うのだろうか…
なんとなく、これが運命の別れ道みたいに感じた。




面接当日、住所を頼りに出版社までの道をリクルートスーツ姿で歩いた。


電車を一本乗り継いで、片道30分程なので「通勤も可能かな」なんて考えた。


イルミナティ出版社は意外にもかなり大きなビルの4・5階の2フロアを占めていて、予想以上に大きかった。


受付で担当者の名前を言うと、近くの待合いスペースで待つように言われた。


緊張するなぁ~…


集団面接と違い、飛び入りで面接は1対1になるのを考えると足が震えた。


「お待たせしました。黒崎忍さんでしたね?」


そう声を掛けられ、立ち上がると深くお辞儀をした。


「はっ…はじめまして!本日はよろしくお願いします!」

「そんなに緊張しなくて大丈夫ですよ。

私は第三編集部の新庄です。よろしくね。」


そう言って名刺を渡された。


面接で名刺をもらうなんて初めてで、卒業証書をもらうようにガチガチに緊張して受け取ると新庄はクスクスと笑った。