「忍、朝ご飯いらないのかしら…」
朝食になかなか来ない忍に叔母はポツリと呟いた。
「呼んで来るよ。」
右京がそう言って廊下に出ると階段から降りて来た忍と出くわした。
「今呼びに行こうかと…」
「あ…ごめん、着る服迷っちゃったの。」
笑いながら脇を通り過ぎようとした忍の腕を右京は掴んだ。
「…どうした?」
「…なにが?」
「泣いたろ…」
右京は忍の目の縁をそっと撫でた。
「赤い…俺のせい?何かした?」
「違うよ。気にしないで…」
「気にするに決まってる。」
階段に忍を座らせて自分も隣に腰を下ろすと、「話して。」と右京は忍の顔を覗き込んだ。
「…本当に何でもないの。」
「…忍。俺に嘘付くの?」
ちょっと真剣な顔でそう言われた忍は俯いて自分の膝を見つめた。
「…笑わない?」
「笑わないよ。」
「あのね…私…」
「待った!…当てようか?」
そう言うと右京は「う~ん」と顎に手を当ててちょっと考え込んだ。

