先に部屋を出て行った右京を見送って忍は布団に突っ伏した。
年明けにはイギリスへ戻る右京と少しでも一緒に居たくて、昨日もつい布団に潜り込んでしまった事をちょっと後悔した。
「甘え過ぎかな…」
右京は優しく笑って抱き締めてくれたけど、あまりべったりでも迷惑なのかもしれないと忍は考えた。
…でも…
「でも一緒に居たいよ…」
独り言なら素直になれるのに…
右京の枕を抱きかかえて顔をうずめると微かに右京の匂いがして胸がキュンとした。
「好き…」
切ない気持ちと涙が少し零れる…
こんな顔、彼には見せられないと思い、忍はなかなか布団から出れなかった。
右京がダイニングに入ると、朝食の用意をする叔母に「おはよう」と声をかけた。
デカい二人に何やら一生懸命説明している叔父が右京を見て手招きした。
「…何やってんの?」
「餅を説明しているんだ。」
そう言って紙に描かれたヘタクソな絵を右京に見せた。
「…マシュマロマン?…」
『だろ?違うって言うんだ!』
あまりにも絵心のない叔父が『もういい!』と拗ねてしまったのを見て右京は吹き出した。
『実際に見た方が早いよ。
他に買うものは?』
そう言われて叔父は“マシュマロマン”の裏に買う物をリストアップした。

