とある堕天使のモノガタリⅡ ~MIDRASH~




右京はそんな忍の頭を撫でて「もういいだろ」と宥めた。


マイケル達の方へ忍を促してから「あ…そういえば」と男を振り返った。

「忘れる所だった。お礼しないとな…」


座り込む男に歩み寄って、目線を合わせニッコリ笑った。


「お返し。」


右京はそう言って強烈な頭突きを食らわすと、伸びた相手にフンッと鼻を鳴らした。


「ジンヤ、後は任すな。」

「うぃっす!」


そして『帰るぞー』と何事も無かったように仲間の所に戻って行った。


『お前らってカップルって言うより、“超人タッグ”だな…』

『言えてる!』

『忍があそこまでやるとは俺も想定外だったよ…』


話が聞き取れなかったらしい忍は「なになに?」と右京達を交互に見て首を傾げた。


「忍がじゃじゃ馬だって話だよ。」

「うっ…だってあの人、女を馬鹿にしてたじゃない!?

許せないわ!」

「でもあれは無謀過ぎだよ。

腕を上げたのは認めるけど、相手をよく見てからにしろよ?」

「…分かったわよ…」


ジェイクはしょげる忍を覗き込んで笑った。


『大したもんだよ、シノブは!

見ててスカッとしたぜ!』

『そ…そお?』

『ジェイの言う通りだよ。

日本人はもっと女性を大切にするべきだと思うよ。』


マイケルもそう言うと忍はちょっと嬉しそうに微笑んだ。