「とりあえずケーキ食べない?」


そう言うと叔母は冷やしてあったホールケーキを取り出した。


「右京!あれやって!」


身を乗り出す忍に小さく笑うと「はいはい」と言って灯りを消した。


右京は忍がローソクを立て終えると、軽く指を鳴らすと全てのローソクに火が灯った。


「まぁ!」


右京は驚く叔母に微笑むと、今度は軽く指を回した。


あちこちに現れた光の球体で室内が程よく照らされ、そこだけ異空間のようだった。


「素敵ね~…」

「ホント…」

「気に入って頂けて良かった。」

「やっとクリスマスらしくなったわね」


3人はそんな会話をしながらケーキを食べた。


「じゃあ私はそろそろ寝るわ。」


二切れ目を食べ始めた忍は「もう?」と驚く。


「今日は疲れたわ。

忍、後はお願いね?

…右京もさっきの話、よろしくね?」


ぶほっと思いっきりむせる右京を笑いながら叔母は出て行った。


「ねぇ…さっきの話って何?」


そう聞かれてもさすがの右京も答えられなかった。


案の定かなりしつこく忍は食い下がっていたが、なんとか諦めた様だった。