「もう!!恥ずかしかったぁ~」

「なんだよ、聞いたのは忍だろ?」


そう笑う右京に忍はちょっと俯いて地面を睨んだ。


「忍も俺の事好きだろ?」

「え!?…そりゃ…まぁ…」

「…相変わらず素直じゃないな…」


ちょっと眉を上げる右京に忍は「だって…」と口ごもった。


「家に着くまでに言わないと襲うぞ。」

「え!?なっ…なんで!?」

「なんでって…襲いたいからに決まってんだろ?」


慌てる忍が可愛くて右京は意地悪してみたくなった。


「って事で、急いで帰ろう。」

「ええ!?ちょっと!」


シレッとしてスタスタと歩く右京に忍が小走りでついてくるのが分かった。


家の門に手をかけたところで忍は右京のブルゾンの裾を掴んだ。


「待って!い…言うから!」


門から手を放して右京は少し冷たい人差し指を忍の唇に当てて「しぃー…」と小声で言った。


「…言わないでいい。」

「…そんな…っ…」


それ以上忍は唇をちょっと強引に奪われて言えなかった。

角度を変えて何度も交わす口付けは次第に深く…長くなる。

ちょっと唇を離し、右京は忍を上から見つめた。


「…だめ…もう待てない…」


右京は忍の手を引いて玄関に入るとコンビニの袋をその場に置いて階段を上がった。