「右京がイギリスに居る事がバレたのか…」

「ありえる。マモンは捨て駒だ。

だから単独で行動させた。」


右京が虎太郎を振り返って一瞬マモンを抑えている足の力が緩んだ。


マモンはその隙をついて右京の足をはねのけると川に飛び込んだ。


『逃げやがった!!』


慌てるニックに『心配ない』と右京は落ちついた声で言った。


『“水”の中に逃げるとは…馬鹿なヤツだ。』


虎太郎の言葉にニックは首を傾げた時だった。


前方の水面が揺らいだかと思うと、勢いよく水柱が上がった。


そこから潤に担がれたマモンが飛び出し、静かに右京の前に降り立った。


『マモン…言っただろ。
貴様を業火で焼くと…』


右京はゲホゲホと咳き込むマモンの喉を掴み上げた。


ニックはその様子を黙って見ていた。





暴れるマモンから突然炎が上がったかと思うと次第に勢いを増し、やがてそれは灰になった。



虎太郎がニックに向かって『終わったよ』と言う声で我に返った。


『…なんだ…今のは…』


ニックは茫然としながら一連の様子を思い出した。


マモンは最初から右京を恐れていた。



ーーなぜ懺悔の天使がここにおる!?


『…“懺悔の天使”…

四大天使のウリエル…?』


振り返った右京は『正解だ』とニックに微笑んだ。