由衣が演技に誇りと情熱を持っているのは知ってる。
それが人一倍だってことも。
でも今日はあんまり(というか絶対)目立ってはいけなかったのに、こんな予想もつかないようなことが起きて焦ってるのは俺も由衣も同じだ。
だから今日だけは演技は抑え目にしないと由衣の演技力だったら望月日菜を食ってしまうかもしれない。
俺は本気で心配する。
そのことを告げると由衣は眼を一瞬曇らせたが「分かってる。」と呟いた。
「演技はどんな役でも真面目にこなさないといけないと思ってるけど今日は押さえる…。」
少し拗ねたような顔をしたが俺はほっと胸をなでおろした。
「ごめんね」
俺がそう言って頭を撫でると太陽が悪いんじゃないっ、とそっぽをむいた。
(耳真っ赤だけど。)
あと少しで撮影が始まってしまう。
だが俺の緊張はとっくの昔になくなっていて、
俺はまた由衣の頭をなでた。
(ありがとう、由衣)
少しの不安が残るが、由衣のおかげで緊張はほぐれたしいいドラマができそうだ。

